水分の取り方にもよりますが,一般には日中4~6(7)回,夜は排尿のためトイレに起きないが正常だといわれています.それ以上の場合は,「オシッコが近い」すなわち「頻尿」「夜間頻尿」です.
  頻尿:日中の排尿回数が8回以上の場合
  夜間頻尿:一旦眠ってから,排尿のため1回以上起きる場合
<正常の排尿機能>
 尿が膀胱に溜まってくると,大体150~200ml程度で,初めて尿意を感じます.しかし,何か用事があって我慢していると尿意が薄らぎ,忘れてしまうこともあります.更に溜まってくると,次第に尿意が強くなり,これ以上我慢すると,漏らしてしまうという状態になります.この時,膀胱には350~600mlの尿が溜まっています. しかし,膀胱はまだ収縮せず,トイレに行って排尿するまで,尿が漏れてしまうことはありません.
  一日尿量:1000~1500ml
  初期尿意:150~200ml
  最大尿意:350~600ml

 原因として、以下のことが考えられます。
1)排尿習慣
 少しでも,尿意を感じるとトイレに行く人,オシッコを我慢しない人の頻尿がこれです. 一日1500mlの尿が出る人が,150mlの初期尿意で排尿すると,10回トイレに行くことになります.オシッコを我慢するのは体に悪いといいますが,程度問題です.尿意をこらえて, 数分で忘れてしまえるような場合は,我慢してもかまいません.

2)膀胱や尿道が過敏になった場合
女性では膀胱炎,男性では尿道炎や前立腺炎などの炎症が原因です.頻尿に加えて,排尿痛,残尿感,下腹部不快感などを伴うことが多いのが特徴です. 膀胱や尿管の結石や,膀胱腫瘍でも同様の症状が出るので,注意しなければなりません.

3)残尿が多い場合
 前立腺肥大症や前立腺癌のため,尿道が圧迫されると尿を全部出せなくなり,残尿が増えてきます.「尿の出だしが悪い」「尿の切れが悪い」「尿の勢いが弱い」などの排尿困難を伴うのが特徴です.40歳台後半以降の男性は注意して下さい. 直腸や子宮の手術をしたことがある人にも,同様のことが起こる可能性があります.

4)膀胱容量が小さくなった場合
妊娠子宮による外部からの圧迫、間質性膀胱炎や膀胱結核、膀胱腫瘍などが考えらます。

5)膀胱の運動が活発になった場合
 脳出血,脳梗塞,パーキンソン病などの脳の病気や,脊髄の病気のため, 膀胱が勝手に収縮してしまうような時です.尿意切迫感や尿失禁を伴うことがあります.前立腺肥大症でも膀胱の活動が不安定になり,頻尿になることが分かっています.

6)尿量増加(多尿)の場合
お茶やコーヒーが好きで水分を多く摂っている場合には,頻尿になります.糖尿病の人も血糖値が高いと喉が渇き,水分を多く摂る傾向にあります.足がむくんでいる人は,寝るとむくみが尿として出てくるため,夜間頻尿になります.利尿剤を服用している人も尿量が増えるため頻尿になります.
腎臓や心臓も年と共に弱ってくるし,尿を濃くする抗利尿ホルモンの出も悪くなるため,夜間の尿量が増えてきます.

7)精神的要因,心因反応による場合
心因性頻尿,あるいは神経性頻尿と呼ばれています.膀胱や尿道に異常がないのに激しい頻尿を訴えます.日中は1時間に何回もトイレに行くのに,一旦眠ると トイレに起きないのが特徴です.何かに夢中になっている時もトイレに行きません.一般に,神経質な人,依頼心が強い人,情緒的に緊張状態になりやすい人がかかりやすいといわれています.

<心因性頻尿>
 1)小児:男子に多く,長男長女に多い.家庭,学校,幼稚園などにおける環境の変化,厳しい躾,塾通いなどに対する不安と緊張.
 2)中高生,大学生:受験や就職に対する不安と緊張.
 3)成人:仕事,結婚,あるいは病気に対する不安と緊張.

「オシッコが近い」といっても,病気とはいえないような場合から,炎症や腫瘍,神経の病気,心の病まで,様々なことが考えられます.そして、治療もその病態によって違ってきます。悩んだり,年のせいだと安易に自己診断したりせず,泌尿器科を受診することを勧めます.

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