びっくりサイズの婦人科腫瘍

 子宮や卵巣は女性の骨盤内にありますが、病気になると他の臓器とは比較できないくらい大きくなります。子宮筋腫は多発して、臍の高さを超えて大きくなることがあります。また卵巣腫瘍は3㎏くらいの赤ちゃんサイズになったり、10㎏以上になってしまうこともあります。どうしてそんなに大きくなってしまうのか、どうして大きくなるまで受診されないのか・・。年齢にもよりますが、正常の子宮は卵サイズ、卵巣は親指サイズくらいです。骨盤内にちょこんと存在している程度の臓器ですが、大きくなりはじめると、お腹の中で自由に大きくなります。良性の腫瘍であれば、ゆっくり大きくなるため(数年単位)自覚症状が出にくいですが、悪性の腫瘍であれば、急激に大きくなるため(月単位、日単位)何らかの症状を自覚されやすいです。

 

 子宮筋腫は子宮の良性腫瘍です。子宮は筋肉のかたまりですが、筋腫も筋肉のかたまりです。筋腫は、子宮の内側にあったり、筋肉の中にあったり、子宮の外にできたりします。また、筋腫の中では出血したり、脂肪化したり、炎症をおこしたりします。サイズも色々で、大きくなりやすいものも、あまり大きくならないものもあります。

筋腫の栄養源は女性ホルモンのため、卵巣から女性ホルモンがでている時期は大きくなり、閉経すると小さくなります。筋腫は一つだったり、何個もあったりします。通常、筋腫があると月経困難や過多月経の原因になるため婦人科受診のきっかけになりますが、筋腫が月経と無関係のところにあるときは、大きくなって周囲の臓器を圧迫する症状(膀胱→頻尿、腸→便秘、仙骨・腰椎→腰痛)で初めて気が付くこともあります。

”筋腫の治療は必要ですか”と聞かれることがありますが、治療方法や治療の有無は、年齢、子供が欲しいか、月経状況、貧血状況などで、対応が変わってきます。筋腫=治療ではないので、婦人科を受診して相談してみてください。

 卵巣腫瘍は、種類がたくさんあります。腫瘍の中が水、粘液、血液だったり、腫瘍が硬かったり、柔らかかったり、良性、悪性、境界悪性だったり、いろんな種類があります。今回は、かなり大きくなってから発見されやすい、粘液性腫瘍についてご紹介します。粘液性腫瘍には良性・境界悪性腫瘍・悪性腫瘍がありますが、良性~境界悪性腫瘍は、数年~数十年かけて10㎏級になることがあります。私が経験した最大の腫瘍は30㎏で、体重の半分が卵巣腫瘍でした。10㎏級の卵巣腫瘍をお持ちの方は、妊婦さんのような体形になります(手足が細くて、お腹だけ大きい)。数年~10年かけて体形が変わっていくため、”気が付かなかった”、”太ったのでは”と思われるようです。ゆっくり大きくなる腫瘍は、周囲にくっつきながら大きくなることもあり、手術で摘出するのは結構大変です。

 下腹部にゴロッとした腫れものがあるときは、婦人科疾患の可能性があります。何だろう?と思われたときは、婦人科にご相談してください。

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