”女医”という生き物

 医学生の研修中、ある産婦人科の教授に言われたひと言でした。今から20年以上前、医学生の女性は1~3割程度で、女性の医師はそれほど多くなかった頃のことです。部活でキラキラしていた女性の先輩が、研修医になってからは髪を振り乱して働いていたので、”大変なんだろうなあ”とは思っていましたが、”女医≠女性”とまでは思ってませんでした。

 すべての時間を自由に使って、ただ働いたり勉強するだけなら、性差に関係なく頑張るだけでいいかもしれません。でも当時の女医さんたちは、出産・子育てをすることを選択したとしても、他の男性医師と同じように働くことを強いられ、”女医”という生き物に分類されてしまったのかもしれません。ちなみに、その産婦人科の教授の奥さんも、他の診療科の教授で、お子さんも何人かいたようだったのでよほど大変だったのだと思います。私が出産した時は、時代が進んでいたので、ある程度は優遇されていましたが、医師の人数的に育休や産休をとることもできず、退職という形になりました。また職場復帰後、夜間の当番回数は減りましたが、日中業務のあと月5~6回の夜当番をしつつ、家事と育児を追われる生活はなかなかハードでした。でも実家や周囲のサポートにより、私も子供も成長してなんとか頑張り、2023年10月より当クリニック勤務となりました。”リンゴ”の絵は小学3年生の子供が学校で書いたものです。

 

今は共働きが普通で、男性も、家事・子育て・子供の行事に参加したり、育休をとって産後も協力しようとしてくれる方もいるため、当時とはまったく状況が違います。出産・子育てを選択しても、女医=女性として働けるようになっていい時代だとは思いますが、その分、他の医師の仕事が増えてしまっていることも事実です。ママ女医たちは、ママ以外の医師や多くの周囲の支えへの感謝の気持ちを忘れてはいけないでのす。

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