市販の漢方薬、”命の母”は更年期だけじゃない? ~歴史は深く、種類も豊富~

120年の歴史があった

「命の母」は、産婦人科の祖父を持つ、笹岡薬品株式会社創始者である笹岡省三により、1903年(明治36年)に開発され、2023年で120周年を迎えられました。大家族を支えるため過酷な家事労働を行っていた女性や、病弱な母の影響を受け、さまざまな不調に悩む女性に役に立ちたいという想いより研究を重ねられました。”命の母”という名前には ”生命の育む母性” を、いとおしいむ思いが込められているようです。

「命の母」の最初は「更年期の薬」ではなかった

「命の母」といえば、「更年期障害の薬」というイメージですが、120年の歴史のなか、その時代におかれた女性の状況に合わせて進化を遂げて、ラインアップも増えきました。

時代女性の状況   「命の母」の歴史
明治~大正大家族の家事労働を強いられていた過酷な生活すべての女性の不調の役立つ「命の母」誕生
(笹岡薬品株式会社より販売開始)
大正~昭和初期震災、戦争、改革、民間運動など、激動の時代。
女性は「産めよ増やせよ」と妊娠出産を求める時代。
子宝薬として話題
戦後~昭和後期高度成長期に入り、女性の社会進出開始。女性の必要なビタミン剤を配合され「命の母A」誕生。生薬だけの薬として「命の母ホワイト」を展開。
平成女性の社会進出が進み、多忙な状況下ストレスが増加。2005年~小林製薬株式会社が「命の母A」「命の母ホワイト」独占販売権を取得。より多くの女性に情報提供できるよう、更年期の症状に「命の母A」生理の諸症状に「命の母ホワイト」など、分かりやすいデザインにリニューアル。
令和多様化が進み、女性の生き方も様々に。閉経後女性の不調に「命の母アクティブ」や、ホワイトシリーズなど、ラインアップを拡充。

                           参考文献:命の母ヒストリー小林製薬 

命の母シリーズは6種類もあった

「命の母」は歴史とともに、種類も豊富になり、さまざまな女性に対応できるようになってます。

【命の母の種類】【効果】【生薬構成】
命の母A更年期の諸症状当帰芍薬散+加味逍遙散+桂枝茯苓丸+α生薬+ビタミン類+カルシウム
命の母メグリビa更年期の肌の不調加味逍遙散+四物湯
命の母アクティブ更年期後の不調当帰芍薬散+加味逍遙散+桂枝茯苓丸+α生薬
命の母ホワイト月経の諸症状当帰芍薬散+桂枝茯苓丸+α生薬
命の母ホワイトシリーズ 
ネムルナ
月経前からの眠気加味逍遙散
命の母ホワイトシリーズ
タベルナ
月経前などの食欲増加香砂平胃散

                                             参考文献:命の母 小林製薬

ここからは、それぞれのお薬についてご紹介します。                       

命の母A

女性の三大漢方と言われる、当帰芍薬散、桂枝茯苓丸、加味逍遙散に含まれる生薬をバランスよく組み合わせ、便秘や頭痛、胃症状をなど改善する生薬も含まれております。また、女性に必要なカルシウムやビタミン類も豊富に含まれております。病院やクリニックで、更年期女性へ漢方処方する場合、症状に合わせて処方しますが、「命の母A」はすべての女性に合わせた処方になっております。色白で華奢な方で冷えとむくみを改善したい場合は「当帰芍薬散」、がっりり体形でだったり肩こり・頭痛・月経痛が強い方くほてりが強い場合は「桂枝茯苓丸」、ほてりやイライラなどの精神症状が強い方には「加味逍遙散」などと、限られた症状の場合は、女性の三大漢方をためしてみるのも一つです。

命の母メグリビa

更年期の諸症状+肌の症状に悩まれる方のためにお薬です。更年期症状には加味逍遙散、肌症状には四物湯が効果を発揮します。
加味逍遙散は、ホットフラッシュやイライラなどの精神症状に有効です。四物湯は、貧血や肌の乾燥、シミ・クマなどに有効です。更年期にかかわらず、月経関連での精神症状+皮膚症状に悩まれる方には有効だと思います。

命の母アクティブ

更年期を過ぎた女性の様々な不調のためのお薬です。命の母Aと同じく、女性の三大漢方の生薬をバランスよく取り入れております。命の母Aと比較して、使われている生薬が10種類と少なりくなり、強壮作用のある生薬が追加されております。また、血流障害の改善する作用に強くなっており(駆瘀血作用)も強くなっており、肩こり・頭痛・重いだるさ・冷え性に有効とあります。

命の母ホワイト

月経前の諸症状に有効ということで、命の母Aより若い世代向けの薬として紹介されております。冷え・むくみの改善に特化した当帰芍薬散、微細血管の血流障害の改善(駆瘀血作用)に特化した桂枝茯苓丸の生薬がすべて含まれており、月経痛、肩こり・頭痛などに有効な配合です。月経前のむくみに伴う、頭痛・めまいにも有効です。精神症状に特化した、加味逍遙散の生薬が少なめなので、月経前にイライラなのど精神症状だけが目立つ人は、加味逍遙散にしたり、加味逍遙散そのものである命の母ホワイトシリーズのネムルナが有効かもしれません。

命の母ホワイトシリーズ ネムルナ

月経前などの、女性ホルモンの乱れによる眠気が起こりにくくなる薬とされております。このお薬は加味逍遙散そのもので、イライラ・不眠などの精神症状に有効な漢方です。眠気というより、不眠に有効な気がしますが、生薬の中には利水作用はあるので、月経前にむくんでボーっとする方には有効かもれません。月経前にイライラがつらい方には有効のため、ぜひ試してください。

命の母ホワイトシリーズ タベルナ

月経前の食欲異常に有効なお薬とされております。タベルナは香砂平胃散そのものです。胃もたれや消化不良を改善する、平胃散に精神作用がある香附子、健胃作用があり縮砂、自律神経調整作用や鎮静作用持った麝香を含んでおります。月経前にかかわらず、胃腸症状を改善、精神症状を整え、食べ過ぎ抑制につながります。

このように、”命の母”は120年の間多くの女性の様々な悩みに答えてきました。今後も命の母の展開が楽しみです。市販されてる更年期の漢方薬は他に、アリナミン製薬からのルビーナ、ツムラからラムールqなどもあります。今後ご紹介していけたらを思っておりますのでよろしくお願いします。

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