尿潜血
〇尿検査で「潜血」と言われたときは、血尿なの?
腎臓、尿管、膀胱、尿道のどこかから出血していると、血尿となります。
出血量が多いと、尿の色はきれいな赤い色、褐色、時には赤ブドウ酒のような色になるので、目で見ても分かります。しかし、出血量が少ないと肉眼では分かりません。その場合は、尿の潜血反応でスクリーニングし、 顕微鏡検査で確定することになります。 血尿の場合は、尿中に赤血球が出ているので尿は濁って見えます。
<血尿の原因>
1)慢性糸球体腎炎
2)全身疾患による腎病変
2)尿路結石
3)尿路感染症
4)尿路腫瘍(癌)
5)腎血管の異常や遊走腎など
尿が明らかに赤いとか濃い紅茶のような色の場合は、「肉眼的血尿」といいます。 一度でもこういう尿が出たら、出来るだけ早く泌尿器科専門医を受診してください。
見た目に尿はきれいでも、尿潜血(+)といわれたら、一度は、専門医での精密検査を受けて下さい。
一般に、血尿は健康な人にはありませんが、女性では生理の出血や下り物(帯下)が 尿に混じって潜血反応(+)と診断されることがあるので、尿を採る時に注意して下さい。
正常でも激しい運動直後に尿潜血反応(+)となることがあります。
また、血尿ではないのですが、便秘の薬やビタミン剤などを服用していると、赤い色の尿が出ることがあります。
タンパク尿
○尿にタンパクが出るのは、腎臓が悪い?
タンパク尿は、いろいろな原因で出現します。健康な人でもタンパク尿が出ることがあります。激しい運動後や発熱時などには尿中にタンパクが出ることがあります.また、やせた若い人に多いのですが、横になっていると出ないのに、起立時だけタンパクが出る場合があります。これらは「良性タンパク尿」といわれ、病的なものとは区別されます.
<良性タンパク尿>
1)機能性タンパク尿:運動後、精神的ストレス時、入浴後、発熱時など
2)起立性タンパク尿:起立時だけに尿中にタンパクが出る状態
これに対して、「病的タンパク尿」は、腎機能が低下したり、重症になることがある反面、 治療で治せる場合もあるので、原因疾患の詳しい検査が必要です。
腎臓に問題があるために生じるのを、腎性タンパク尿といいます。 腎臓には異常が無いのに尿中にタンパクが出る場合もあります。 血液中に異常にタンパクが増えるような場合や、尿路の炎症、結石、癌などがそうです。
<病的タンパク尿>
1)腎前性タンパク尿:溶血
2)腎性タンパク尿:糸球体腎炎、ネフローゼ、糖尿病性腎症など
3)腎後性タンパク尿:腎盂炎、膀胱炎、尿路結石、尿路癌など
尿糖
○尿に糖が出るのは糖尿病?
血液中の糖分が高くなり、血糖値が160~180mg/dlを超えると、尿中にも糖が溢れ出ます。血糖が高くて尿糖が出る場合は、「糖尿病」ですので治療が必要です。しかし、血糖が高くないのに尿糖が出る場合もあります。この場合は「腎性糖尿」といわれ、治療する必要はありません。