もしかしたら過多月経? 生理用品は何を使う?

正常範囲といわれる月経量は20~140mⅼ(一周期の合計)で、140mⅼ以上のときは『過多月経』つまり月経量が多いことをいいます。

一回の月経周期で140mlとは・・・・そんなに出血量として多いのか??

女性の場合『140mlの出血』が、数分間で出た場合、多少のふらつきはあるかもしれませんが、数日間で出た場合は、自覚症がないことがほとんどです。もともと女性は月経や分娩で出血する可能性があり、男性よりは貧血に強い体になってます。

一周期の月経量、つまり月経期間が7日間だとして、その期間に出た『出血量の合計が140mⅼ』と言われたら、どれくらいの出血量になるかイメージできますか? 実は、かなり少なめです・・・。

昼用のナプキンは25ml、夜用のナプキンが80mlの月経血を吸収できるとします。一日に昼用のナプキンを3回交換して、夜用のナプキン1回使用し、漏れないギリギリの出血だとしたら(昼25×3+夜80×1=155ml)、一日で『過多月経の140mⅼ』を越してしまいます。つまり、日中は昼用ナプキン1枚、夜も昼用ナプキンで収まるくらいの出血量の方以外は『過多月経』ということになります・・・。

実は、『過多月経』の方は意外と多いということになります。多い日用のナプキンや、夜用のナプキンの交換が数回は必要なら、もう『過多月経』かもしれないのです。

月経量が140ml以上を『過多月経』としておりますが、産婦人科医が『過多月経=140ml以上』と数字を意識して診療を行っている人は少ないと思います。そもそも、月経量がどれくらいか簡単に測定できる方法はないし、ナプキンの吸収量を知っている医師も少ないと思います(女性医師である私も最近まで知りませんでした)。またナプキンを交換する回数は、月経量だけでなく、トイレ行きたくなる回数や、その方の性格にもよるため、ナプキンの交換回数が多い=過多月経とも言い切れません。

月経量が140ml以上を『過多月経』という以外、明確な基準がありません。そのため『過多月経かな?』の判断は担当した産婦人科医の主観になります。私は、下記のような方を『過多月経かな?』と判断しております。

・昼に『多い日のナプキン』『夜用ナプキン』が必要な日が3日以上ある 
・血液のかたまりが出る
・夜に『夜用ナプキン』の交換が必要
・夜に『ショーツタイプのナプキン』が必要 

産婦人科医師は、問診から月経による貧血の進行の程度を判断し、必要に応じて採血や診察を行い、治療方針を決定します。

 産婦人科医が行っていること
貧血になるくらいの過多月経がないかの確認
・貧血になっていた場合(採血で確認)の貧血の治療
・過多月経の原因に婦人科疾患(筋腫や子宮腺筋症など)の有無の確認
婦人科疾患の治療月経コンロトール

月経量が多めの方は、血液を作る能力が高いため、採血しても貧血と診断されないことがあります。ですが、月経量が多い方には婦人科疾患が隠れている可能性がありますので、一度は婦人科診察をおススメします。

各種ナプキンメーカーでは、昼用は~㎝、夜用は~㎝というように、生理用ナプキンの長さの記載はありますが、昼用は~ml、夜用は~mlとは記載されてません。オイテル株式会社(OiTr)によると、昼用のナプキンの吸収量は25ml夜用のナプキンの吸収量は80mlが基準のようです。

マイベスト(商品比較サイト)ではナプキン吸収量として、昼用ナプキン(多い昼用)は45ml、夜用ナプキンは140mlで検証されており、人気の生理用ナプキンは、オイテル株式会社さんによるナプキンの吸収基準を上回っているようです。

生理用品には、生理用ナプキン以外にも、タンポン月経カップ月経ディスクなどがあります。生理用ナプキン使用者が圧倒的に多いので生理用ナプキンの種類はかなり豊富ですが、最近は国内でも月経カップ月経ディスクの販売も増えてており、生理用品の選択肢が広がってきています。外出時やスポーツの時がタンポンや月経カップを使って、自宅ではナプキンを使用するなどシーンに合わせて、生理用品を変えることも可能です。

生理用ナプキン: メーカーも種類も豊富で、肌ざわり、圧さ、素材など選択肢は無限大です。

タンポン: 立った時に流れる来る感じがないので、タンポンで吸収できている間は、ものすごく楽。でも限界量を超えると流れてきてしまうので、ナプキンの併用が必須です。

月経カップ: 性交渉経験、出産経験、出血量に応じて、デザインやサイズを選べます。メーカによって硬さや質感が異なりますが、ネット販売が主流のため、買ってみないと分からないという問題はあります。でも、月経量が多すぎないとタンポンにようなこまめな交換は不要で、挿入に慣れてしまえば、かなり快適。また、ゴミが出ないためエコです。タンポン同様、限界を超えるとあふれ出てきしまうため、ナプキンの併用は必要です。

月経ディスク: 月経カップを同じ感じで、用量が比較的多めです。月経カップほどの種類はありません。

生理用ナプキン、タンポン、月経カップ、月経ディスクが、それぞれどれくらいの月経血に対応できるか調べてみました。生理用ナプキンの吸収量はオイテル株式会社(OiTr)さんを参考に、タンポンの吸収量は日本衛生材料工業連合会さんの基準を、月経カップや月経ディスクは現在販売されている商品の平均量を記載しました。

月経量ナプキンの長さ
ナプキン 昼用 25ml 20~25cm
ナプキン 夜用80ml30~40cm
タンポン ライト6g以下
タンポン  レギュラー5~9g
タンポン  スーパー8~12g
タンポン スーパープラス11~15g
月経カップ  S15~30ml
月経カップ M20~30ml
月経カップ  L30~40ml
月経ディスク S30~40ml
月経ディスク L40~60ml

生理用ナプキンメーカーの上位を占める、ソフィー(ユニ・チャーム)ロリエ(花王)エリス(エリエール 大王製紙)の『生理用商品』のサイズや種類などを比較してみました。各社ともに、サイズ、手触り、うすさ、吸収量など、様々な工夫をされております。

ソフィー
(ユニ・チャーム)
ロリエ
(花王)
エリス
(エリエール 大王製紙)
昼用ナプキン 21/21.5㎝
20.5/22.5㎝20.5/21㎝
多い昼用ナプキン23/24.5/26㎝22.5/25/30㎝23/25/27㎝
夜用ナプキン26/29㎝30㎝29㎝
多い夜用ナプキン30.5/33/36/40/42㎝34/35/37/40㎝32/32.5/33/36/40㎝
スリム商品
オーガニックコットン商品
消臭商品
ショーツタイプ〇(3サイズ)〇(2サイズ)〇(2サイズ)
タンポン〇(4サイズ)
月経カップ〇(1サイズ)25ml
シンクロフィット〇(2サイズ)

各種メーカーともに、メイン商品は展開が多く、スリムタイプの商品オーガニックコットンの商品などがあります。また、夜用シリーズはサイズが豊富で月経量に合わせて選択が可能です。また、月経量が多い方にはショーツタイプもあります。マイベストの検証によると夜用のショーツは各種ともに140ml以上(過多月経)の液体吸収が可能のようです。

ソフィー
(ユニ・チャーム)
ロリエ
(花王)
エリス
(エリエール 大王製紙)
メイン商品はだおもい
 オーガニックコットン
 SPORT
 極うすスリム
しあわせ素肌
 ふんわりfit
天然コットン100%
 超スリム
 消臭プラス
素肌のきもち Luna fit
ふんわり
ナチュラルシリーズ
超スリム
超スリム シンプルデザイン
スリムタイプセンターイン
はだおもい 極うすスリム
スリムガード
しあわせ素肌 超スリム
コンパクトガード
オーガニックコットンオーガニックコットン100%
(はだおもい)
天然コットン100%
(しあわせ素肌・スリムガード)
ナチュラルシリーズ
(素肌のきもち)
 
夜用超熟睡朝までブロック朝まで超安心
ショーツタイプ超熟睡 ショーツ朝までブロック 安心ショーツエリスショーツ

『生理用品』の選択肢は増えきており、月経期間を快適に過ごすことができるようになってきております。また、『月経量が多い方』にも対応可能な商品が増えております。ですが、産婦人科医としては、月経量が多い方、徐々に増えてきている方は、ご自身の将来のためにも、定期的に婦人科での診察をしてもらい、『婦人科的疾患』はないか、『貧血』になっていないか、などを確認しもらっていただけたらなあと思います。

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